発達でこぼこさん 日々の生活で疲れやすいのはなぜ?

疲れるこども

ははとこ治療院 鍼灸・マッサージ師 保育士 臨床発達心理士の まきたしのです。

幼児のお子さんを持つ保護者の方から
このようなお話を聞くことがあります。

年少女子母

幼稚園ってそんなに疲れるものですか?お休みで家にいる時は元気なんですけど。

年長男児母

運動会、遠足、発表会の前後は大変です。家の中でも落ち着かず、かんしゃくもあります。
本人は楽しみにしている様子ではあるのですが、家では大変。

幼稚園、保育園 疲れちゃうお子さん。
週明け月曜日、夏休み明けが大変。

子どもって、そんなに疲れるもの??
元気いっぱい、ぐっすり寝てまた元気に起きるイメージですが、
翌日もぐずぐず
週末までにだんだん疲れがたまって、
イライラ、ぐずぐす。

どうも他の子に比べて
疲れやすいような気がする。

”発達でこぼこ”タイプのお子さんは
日常生活で疲れやすい傾向があります。

発達でこぼこさん とは?

発達でこぼこ、とは
発達のプロセスにおいて、得意な部分と苦手な部分が
大きく異なることを示しています。

自閉スペクトラム症(ASD)

注意欠如・多動性障害(ADHD)

現局性学習障害(SLD)

などの発達障害を持つ人々に対して、
この「でこぼこ」という表現が特に使われることがあります。

もちろん、誰でも得意なことや不得意なことがあり、
その能力やスキルの発達には個人差があります。

発達の多様性からすると、「発達でこぼこ」の概念は
発達障害のある人だけでなく、すべての人に当てはまります。

 

でこぼこさんエピソード(本人談)

私、まきたも まさに「でこぼこさん」タイプです。
絵を描く、ハンドメイド、ダンスなど、
イメージを自分の体で表現するのが大の苦手です。

一方、これまでの知識をまとめ、分類
経理データの記帳、仕訳、帳票作成
書類作成などは
あまり苦になりません。

ダンス苦手男の子

いわゆる不器用な私。
学生時代のウエイトレスは1ケ月もせず
向いていないのがわかりました。
当時は注文を覚えて厨房へ、スタイルのお店。
耳での情報、複数覚えられず。
料理をこぼさずにたくさん運ぶことも苦手。

接客業不向きなのか、と思いましたが、
そのあと、スイミングクラブのフロント業務が
とても楽しくて、自分に合った仕事でした。

スポーツクラブ受付

ザっとフロアを見て、状況を確認することや
表情等からニーズを予測すること
世間話をすること
小さなクレーム対応すること
PC等、データを使って処理作業すること
意外と・・・できました。

私の得意、不得意を表にすると・・・

得意不得意

目で見る情報の取得
耳で聞く情報の取得
一対一対応
一対集団の対応

もし知能検査を受けたとしたら、
確実にワーキングメモリの数値は低いと思われます。

発達でこぼこさんは疲れやすい理由

発達でこぼこさんをが日常生活で感じる疲労は、
一般的に知られているものよりも深刻なことが多いです。

発達でこぼこさんが疲れやすい理由は、
主に以下のような要因が影響しています。

 

1. 感覚過敏
発達でこぼこさんは、音や光、匂いなどの感覚に対して
非常に敏感であることが多いです。

例えば

普通の人には気にならないような
周囲での話し声、お友達が泣く声
蛍光灯の光
隣のお友達の洋服の柔軟剤の香り
教室の掲示物からの情報など
でこぼこさんにとっては
非常にストレスフルな状況になることがあります。


このような感覚過敏は、日常的な環境であっても
持続的なストレスとなり、疲労感を増大させます。

2. 人とのコミュニケーションの中での
人と接することは、多くの発達でこぼこさんにとって
大きなエネルギーを消費する活動です。
会話の読み取り
表情やボディランゲージの解釈など
通常の社会的なやり取りが非常に疲れる原因になります。

特に、周囲に合わせようとする努力が大きなストレス源となり、
その結果、精神的にも肉体的にも疲れやすくなります。

3. スケジュール管理の困難さ
発達でこぼこさんは、時間管理や、
やることの優先順位付けに苦労することが多いです。
幼稚園や保育園では
先生が「これから〇〇やるよ」と声掛けもしてくれますが、
小学生になると授業では、教科書、ノート、黒板からの情報に加え、
先生のお話を聞くこと
何からはじめる、同時に何するという処理をしていかなくてはなりません。

家に帰れば
時間割を揃えたり、
教科によって、イレギュラーな持ち物があったり、
宿題とお友達の約束、習い事・・・
成長にともない、様々な決定や処理をしなければ
ならないことが増えてきますね。

このため、やるべきことが積み重なり、次第にストレスが蓄積します。
そして何度もスケジュールが乱れると、
精神的な負担が大きくなり、疲労感が増す結果となります。

4. 認知的な負荷

たくさんの情報の中から、必要なものを選び、
実際に行動に移すというプロセスを行うこを
無意識にできてしまう人がいる一方で


日常生活の中で、発達でこぼこさんは他の人に比べて
情報の処理や判断に多くのエネルギーを使います。

このような認知的な負荷が高い状態が続くと、
脳が疲れてしまい、身体全体の疲労につながります。

発達でこぼこさんの疲労対策

発達でこぼこさんの疲労対策について
いくつかご紹介します。

1. 感覚刺激を減らす
自分がどのような感覚に敏感かを理解し、
それに応じた環境を整えることが大切です。

例えば、音が気になる場合はイヤーマフを使用したり、
可能であれば、幼稚園、保育園、学校に状況を伝え、
席や活動の立ち位置に配慮してもらうこと等
相談できるとよいかと思います。

2. 無理のない社会的交流
お友達との交流は幼稚園、保育園、学校では
避けて通れないかとは思います。

その中でも、無理してたくさんの人と交流するよりも、
自分が心地よく感じられる人との交流をすることが
疲れすぎない範囲で社会的な活動を行うことが大切です。

「友達100人できるかな♬」
という歌がありますが・・・
多くの友達と交流することが好きで得意なタイプも子もいるし、
少数の友達と深く付き合うことがあっている子もいるし
1人の時間を大切にしたい子もいます。

併せて、お母さんのママ友付き合いもご無理のないように。

 

3. スケジュールの可視化と柔軟性
スケジュールを視覚的に整理することや、
優先順位をわかりやすくすることが大切です。

例えば、
朝のしたくのスケジュールを
「かおをあらう」
「きがえ」
「あさごはん」
「おべんとう すいとうをしまう」

など、マグネットプレートで
やることをリスト化してあげると
わかりやすいですね。

いつもと違うスケジュールの場合は、
事前にお話をしてあげると見通しが立ち、不安がなくなります。
また、予定が変わっても柔軟に対応できるように、
余裕を持ったスケジュールを組むことも有効です。


4. 認知的な負荷を軽減する工夫
一つの課題を行うには、いくつかの行動を伴います。
複雑なタスクを分割し、
一度に集中する量を減らすことで、
認知的な負担を軽減することができます。

例えば
工作でロボットを作る時に
工程をいくつかに分けます。

①材料を用意する
②道具を用意する
③空き箱や画用紙を切る目印に鉛筆で線を引く
④はさみで切る
⑤パーツ同士をテープまたはのりで貼り合わせる
⑥顔や部品の部分に絵を描く、折り紙をはる

 

一つひとつの過程にゴールを設ける。
集中力が続かない場合は、短時間で区切って休憩を取ると良いかと思います。

まとめとして

発達でこぼこさんが日常的に感じる疲労は
単なる肉体的なものだけではありません。
精神的なものや感覚的なものも含まれています。

年齢が上がるごとに、要求されるタスクも増えていきます。
いろんなことに挑戦して
さまざまな経験を積んでもらいたいと思いますよね。
ですが、焦らず

・何が自分が苦手なのか
・どんな環境調整をすると苦痛が和らぐのか
・疲れたら休憩すること
・スケジュール調整

などを、お子さんに合わせてできたらよいかと思います。

ははとこ治療院では
臨床発達心理士の資格も持つ鍼灸マッサージが、
お子さんの体調を整えるお手伝いをいたします。

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